プロゴルファーでもミスることがわかった話

へっぽこゴルファーはかく語りき

ゴルフ場勤務時代、たまに勤務が終わった後にプロゴルファーの練習ラウンドに同行する機会があった。

プロゴルファーと言っても、多くの人に名前が知られているメジャーなプロではなく、ツアープロではあるが、シード権がなく、試合だけでは食べてはいけないプロのR君というプロゴルファーだ。

実はゴルフのプロゴルファーのヒエラルキーの中で、ゴルフだけでは食べていけないプロ層というのは非常に広く、ヒエラルキーの頂点の極めて少ない層だけがゴルフだけでご飯を食べることができるという非常に厳しい世界である。

ゴルフだけでご飯を食べることができない層は、ゴルフ場に所属し、マスター室業務等の仕事をこなし、仕事が終わった後にゴルフの練習をするという生活を送るのだ。

これは、ゴルフ場によるのかもしれないが、私の勤務していたゴルフ場において彼の給料は非常に安く、ゴルフを練習する環境を提供する代わりに安く労働力を提供してもらうという意図が丸見えで私はゴルフ場の経営陣には不信感をいだいていたが、今思うと、それはそれでWINWINの関係だったのかもしれない。

R君はいい奴だったので、たまに私のようなアベレージゴルファーでも一緒にラウンドをしてくれることがあった。

今思うと、私のようなアベレージゴルファーと一緒にラウンドすることは、プロゴルファーにとってはメリットがなく、そのようなやさしさ、言い換えれば甘さがR君がいまいちうだつが上がらない理由だったのかもしれないと思う。

R君は、25歳くらいの若いプロで、ショットは素晴らしいものがあった。

信じられないくらい飛ばしていたし、おかげで未だに「飛ばし屋」と呼ばれる部類と一緒にラウンドしても彼ほど飛ばす人間はほとんどおらず、そんなにビビらなくなった。

ある日、R君と練習ラウンドをしていた時のこと。

私が打った16番パー5のサードショットは砲台グリーンの右端に落ちたが、キックが悪くコロコロと右に落ちていった。

ボールがある場所に行ってみると、そこは水はけが悪くベアグランドのような芝がない最悪のライであった。

グリーンは砲台で「ベアグランドからボールをフワッと上げなければならない」最強クラスの難しい状況で難しいショットと言われるロブショットに挑戦するものの案の定、ボールはトップし、グリーンの奥へボールは転がっていくのを見て、R君が爆笑していたので、「今のは無理、プロでも無理」と宣うと、R君は「プロがどうやって打つか見せてあげますよ?」と得意気な顔をして私のボールがあった場所に自分のボールを置いたのでした。

さあ、プロがこの最悪の状態からどのように打つのかを興味津々で観察タイムに入ります。

R君が選択したのは、私が挑戦して失敗に終わったロブショット。

美しいフォームでロブショットのお手本のようなスイングをしたR君が打ったボールは私と同じようにトップし、グリーン奥へ転がっていきました・・

弘法も筆の誤り、猿も木から落ちる、そのようなことを言ったかどうかは定かではありませんが、再度チャレンジしたR君のボールはサイドグリーンの奥へ転がっていきました・・

私は何故か得意気になって、勝ち誇った顔で「なっ?言ったろ?難しいんだよ!プロでも無理なんだよ!このライは。」とR君を罵ったところ、R君は返す刀で「そもそも、プロゴルファーはこんな場所にミスショットしません。」と言ったのです。

言い得て妙。

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