シャンクでグリーン周りを1周回った人の話

ゴルフはメンタルのスポーツとは良く言ったもので、いくつになっても不安や恐怖心はスイングに影響するものです。

先日、シングルゴルファーとラウンドしたのでが、簡単な130ヤードくらいのPAR3でその事件は起こりました。

左に池がある打ち下しのショートホールで、「ゴルフはミスを少なくするスポーツである」と豪語するシングルプレーヤーのYさんは、グリーンの右端から攻めるという彼らしい安全策でティーショットを打ちました。

さて、ボールは高い弾道で狙い通り、グリーンの右端に飛んで行ったのですが、少しだけ風の影響を受け、本グリーンとサブグリーンの間に落ちました。

「まあ、狙い通り。」と答えながら、カートに乗り込む彼の姿は、アベレージゴルファーの私にとっては、思わず、「さすが、先生。」と言ってしまうくらい頼もしい、というか、お手本とすべき姿でした。

私を含めた他の同伴者は、所謂アベレージゴルファーであり、競技ゴルファーとは対極の立場となるエンジョイゴルファーでもあったので、何も考えずにただ、ピンを狙って打つと、3人ともパーオンを果たしたのでした。

まあ、130ヤードくらいのショートホールでは、我々のようアベレージゴルファーがシングルゴルファーをやっつけるには丁度いい距離です。

興奮気味に「バーディーチャンス!」とか言いながら、グリーンに向かう道中、Yさんは、「まあ、ゴルフは上がってなんぼだから。」とか何とか言って、アプローチに入ります。

しっかりとピンまで歩いて歩測する彼の姿はやはり手本とすべきゴルファーの姿であり、おそらく寄せてパーを拾ってくるのだろうと思っていました。

さて、美しいアドレスからアプローチショットを打つYさんのボールは、「ペチッ」と嫌な音をたてて、ボールはグリーンよりはるか右に飛んでいきました。

「あっ!」と言ったYさんは、「まあ、こんなこともある。」と言いながら、3打目を打ちます。

すると、同じように「ペチッ」と音をたててボールは再度右斜め方向へ。

もう、既にYさんの顔は、恥ずかしさなのか、怒りなのか赤鬼のように真っ赤になって、「おかしいな・・」とか言いながら、4打目に入ります。

最初は「弘法も筆の誤り」、「猿も木から落ちる」とか言って我々エンジョイゴルファーは笑いながら、グリーン上で待っていましたが、だんだんとやばいな・・という雰囲気になり、グリーン上は鳥のさえずりしか聞こえないほど静寂につつまれます。

そして、5打目、6打目、7打目とシャンクを連発し、とうとう、ティーショットで着地した2打目の場所に戻ってきました。

最後は、「もう、パターで打つ」と言って何とかホールアウトしましたが、静寂の中、シャンクを連発するシングルゴルファーのショータイムは、すごく、かわいそうというか、いたたまれない気持ちになって、かける言葉がなかったのを覚えています。

シャンクとは、「すね」という意味らしいですが、シャンク病とも言われるくらい、多くのゴルファーが突然この病気になったりします。

Yさんとは、今でも付き合いがあり、笑い話としてこの珍事件を酒のつまみにしたりするのですが、トラウマとかイップスにならなくて良かったと言っています。

このように、ゴルフはシングルプレーヤーでも信じられないミスを連発することがよくあります。

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