「マリガン」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
もちろん、ゴルフに関係する言葉である。
「マリガン」とは、朝一にティーショットを打ってミスした場合にやり直せるという魔法の言葉であり、つまりは、無かったことにしてやり直すというプライベートゴルフならではのルールというか、言葉よりも慣習という言葉の方がしっくりくる。
これは、知らないとビックリする。
私は、恥ずかしながら「マリガン」という言葉を知らなかったので、1年ほど前、同伴者が朝一ショットをOBして、一言、「マリガン」とか言って、何食わぬ顔をして打ち直したのを見て、何かの冗談かと思った。
「マリガン」の由来は人名であり、朝一のティーショットが苦手なマリガンというゴルファーを見た同伴者が不憫に思って、朝一のティーショットだけ、1回限りのやり直しを許したのが由来であると言われているようだが、マリガン青年もまさか何十年後の異国の地で自分の名前が使われているとは思っていないだろう・・
私は、正直どうかと思う。
ゴルフというスポーツにおいては、やり直しが効かないというのがかなり本質的な要素になっていて、朝一の一回に限定するとしても、これを覆すのは本質を壊すようで何だかなあ・・と思ってしまう。
朝一のティーショットは確かに緊張するのでミスがでやすい場面であるが、そのような環境の中で鍛錬したものだけが、ナイスショットを打つことができる。
つまりは、朝一のティーショットの難しさはゴルフというスポーツの中の構成要素であり、その中でいかにナイスショットを打てるかを競うのだから、朝一のティーショットをやり直すなど愚の骨頂であり、例えプライベートであってもマリガンというルールは、ゴルフにはそぐわないと感じるのである。
とはいえ、朝一のティーショットは難しい場面であり、そんな中同伴者の一人が「マリガンはアリ?」などと聞いてくれると、アリにして欲しい・・と思うのが人間の嵯峨であり、あれだけマリガンを否定していた私が、朝一ティーショットをチョロったあとで「じゃあ、マリガンで!」とさっそうと打ち直す姿をマリガン青年はきっと微笑んでくれるだろうと思う。